発酵が偶然生んだビール!
「とりあえずビール!」で始まる飲み会。
仕事帰りのサラリーマンは、この時間が何よりも至福のひと時ですよね。
そもそもビールはいつから飲まれているのかご存知でしょうか?
江戸時代?戦国時代?
いえいえ。もっと大昔、紀元前約4000年前のメソポタミア時代!!
麦でできたパンを粉状にして水を加えて自然に発酵させて作られていたそうです。
勿論その時代の人たちは発酵なんて原理も知るはずがないでしょうから、奇跡的にできたものに違いありません。
発酵というものは、こうも簡単にできてしまうのです。
ビールの原料は大麦ですが、発芽させた麦芽の麦汁を糖化させます。
そこに酵母を加えて発酵させています。
発酵方法は2種類あり、「上面発酵(エール)」と「下面発酵(ラガー)」があります。
名前の通り、上面発酵はサッカロミセス・セレビシエという酵母を使用し、発酵の時に上に浮く性質があります。
対し、下面発酵はサッカロミセス・ウバルムという酵母を使用し、発酵の時に沈殿する性質があるのです。
歴史的には上面発酵が古いのですが、19世紀以降世界的に主流となったのが下面発酵です。
下面発酵の方が雑菌が繁殖しにくいメリットがある為、大量生産に向いているからです。
今では地域の特性を生かした地ビールなども増え選ぶのに迷ってしまいますが、それらのビールの違いとは何なのでしょうか?
ビールの美味さはホップにあり!?
ビールでよく耳にするのが「ホップ」。
この正体をご存知でしょうか?
答えは、植物です!
簡単に答えすぎましたが詳しくご説明すると、これはツル性の植物、使用するのはお花の部分です。
お花と言っても松ぼっくりのような形をしています。
このホップこそ、ビールの個性を引き出すカギなのです!
特に、ホップに含まれる「フムロン・ルプロン」という成分がビールに大きな役割を担っています。
ビールに欠かせない苦味だったり、香りを加えてくれています。
それだけでなく「フムロン・ルプロン」は抗菌性を持っている為、雑菌を抑制する効果があります。
この花にもたくさんの種類があり、それによってビールの風味に違いが生まれてきます。
また、ホップはビールの泡立ちも良くしてくれますし、原料である大麦に続き大変重要な存在でもあるのです。
白ワインの美味しさは”カビ”にあり!?
お米で作られる清酒、大麦で作られるビール、そして果汁で作られるワイン。
ワインとは、リンゴやキウイなどの果実全般で作られたものを指しますが、今回はわかりやすいぶどうを中心にお話いたします。
山梨などのバスツアーでワイナリー見学へ行かれたことがある方はご存知かとは思いますが、ワインの工程にもやはり発酵は必須です。
清酒やビールとちょっと違う点と言えば、原料をひと手間加えて糖化させる必要がないということです。
ぶどうは実が育つうえで自然に微生物が付着し、更に糖分がもとから備わっている為、糖化させる必要がなく発酵することができます。
ただし、自然に任せっきりだと安全面が確保できませんから、たいていのワインはメタ重亜硫酸カリウムを使用し安全面を確保しています。
そして、ぶどうは放置するとジュクジュクしてきますよね。
その要因は、自然に付着した「ボトリチス・シネレア」と呼ばれる“カビ”のしわざです。
このカビが繁殖すると、ぶどう皮に含まれるワックスが分解される為、腐敗したようなぶどうへと変化させてしまいます。
しかしこのぶどうには糖分が多く含まれてます。グリセリンもカビによって生成され、味をまろやかにしてくれます。
結果出来上がったワインは、カビのおかげで甘みのあるまろやかな状態で仕上がるのです。
ただし!これは白ワインにだけ通用するお話です。
赤ワインではカビというのは大敵になってしまいます。
というのも、前述したことが赤ワインにされると、独特の酸味だったり渋みというのが薄れてしまうからです。
味はどうしても好みにもよりますが、カビがワインの味を左右していたなんて誰も考えていないことでしょう。