醤油のうまみ成分と微生物

食べ物にまつわる微生物

醤油も発酵調味料!

あなたが好きな日本の料理は何ですか?

私はすき焼きが大好きなのですが、調味料である醤油が味を深くしてくれています。

お寿司に醤油をつけたり、汁物にだって合いますよね。

日本食の大半は醤油が担っているのではないでしょうか。

醤油というのも、地域によって薄口醤油だったり、溜醤油だったり、様々な味があります。

その中でも皆さんのご家庭によくある一般的な醤油は”濃口醤油”ではないでしょうか。
ラベルを見ると、そのように記されていると思います。

醤油もまた発酵調味料のひとつで、微生物との共同作業で作られています。

醤油と微生物がどのように関わっているのでしょうか。

醤油ができるまで~濃口醤油編~

濃口醤油の主な原材料は、
大豆・小麦・塩
の3つです。

ここで必要な微生物として重要な役目を持つのが、「麹菌」です。

醬油の味や品質を左右する大きな役目です。

まず蒸した大豆と煎った小麦を同じ量混ぜます。
蒸すことで大豆の殺菌、それからこの後の工程で使用する麹菌の作用を受けやすくする効果があります。

そこに麹菌を加える為、麹菌を育てている麹室に3日間程置きます。
3日間置くのには理由があります。

それは、アミノ酸をつくりだすためです。

麹室は30度前後の温度で、麹菌が繁殖しやすい温度になっています。
麹菌が繁殖することにより「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素が作られ、大豆のタンパク質をアミノ酸に分解します。
これが醤油のうま味になる素です。

それから別のタンクへ移し、塩と水を加え、1年程寝かせて発酵させます。
塩を加えることで、麹菌の繁殖を抑え、殺菌効果が得られますが、
時々酸素を送り込むために混ぜる必要があります。

そして1年経つと「もろみ」が出来上がり、お馴染みの色へと変化しています。

もろみを布で包み、絞ると「生醤油」が出来上がります。
それを更に加熱し、濃口醤油が出来上がります。

では、麹菌を入れることで何がおこっているのか、
またなぜこのように1年程かけて作られているのでしょうか?

麹菌の活躍

醤油を作るために欠かせない麹菌ですが、実はカビの一種です。

“コウジカビ”とも言われています。

1年もの間、発酵に時間を費やすことで麹の働きによる様々な事が起きています。

まず、大豆のタンパク質を麹菌によってできた酵素「プロテアーゼ」がアミノ酸へと分解し、
小麦のデンプンを麹菌の酵素「アミラーゼ」がブドウ糖へと変えます。

アミノ酸は醤油の甘みやうま味が作り、

ブドウ糖は乳酸菌の働きを促し、乳酸やビタミンB群などの有機酸を生成して、醤油の酸味を作り出しています。

また酵母も働いて、醬油独特の香りを引き立たせます。

それから、アミノ酸と糖分の一部が結びつき、色に変化がでます。

麹菌が作り出した酵素が醤油の「うま味」・「香り」・「色」を作り出しているのです。

麹は栄養素を吸収しやすくしてくれたり、善玉菌の働きを促す優れものでもあります。

とはいえ醤油の塩分は高めですから、過剰摂取には気を付けましょう。

醬油の種類

一般的に多いのが濃口醬油とお話してきましたが、地域や料理によって、様々な種類の醤油が使われています。

淡口醤油(うすくちしょうゆ)とは、見た目の通り色は比較的薄い色ですが、
塩分が濃口醬油よりも高いのが特徴です。
また、少量の米を使用しています。

熟成したもろみに甘酒を加えている為、濃口醤油よりもコクが優しくなります。
汁物やうどんつゆ、素材の味を引き立たせたい料理に最適です。
関西地方に多い醤油です。

溜醤油(たまりしょうゆ)は、東海地方や九州地方でよくみられる醤油です。
色も比較的濃く、大豆だけで作られますが、小麦を少量使用する場合もあります。
照り焼きや、刺身などのしっかりとした味付けが欲しい時に最適です。

白醤油(しろしょうゆ)は大豆2割小麦8割の比率が多く、濃口醬油よりもかなり淡い色です。
色味が薄いことから、茶わん蒸しや漬物などの調味料として使われることの多い醤油です。

再仕込醤油(さいしこみしょうゆ)というのもあり、塩と水を混ぜる代わりに生揚醤油を合わせています。
とても濃厚なので、主に刺身や冷奴などのつける側で使われます。

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