パンと微生物の関係
あなたはお米派ですか?それともパン派ですか?
日本人ならお米だ!という方いらっしゃると思いますが、今やパンは日本の朝食の代表であるご飯とお味噌汁から浸食しつつある存在でもあります。
それはきっと、日本がスピード社会と言われるようになり、朝ご飯を食べる時間すら減っているのかもしれません。
よくドラマやアニメで、高校生が寝坊をして学校に遅れると言って、トーストを口にくわえて家を飛び出すようなベタなシーンを見たことがあると思います。
ここからわかる通り、パンは常備しておけば、すぐに食べることのできる食べ物だからこそ、日本の朝食でもパンはとても人気になったのかもしれません。
パンは微生物の力を借りて作られた“発酵食品”です。
ペタペタな生地がふっくらなパンになるまでの不思議をご紹介します。
パンができるまで
パン作りに必要な材料は、
小麦粉・砂糖・塩・水
です。
それから、最も欠かせない材料がひとつあります。
それが「ドライイースト」という乾燥酵母です。
これらの材料を混ぜ、手でしっかりと捏ねます。
生地を寝かせて、型にはめたら焼き上げていきます。
これでふっくら焼きたてパンの出来上がりです。
材料の比率を調整していたり、牛乳などの他の材料を使ったりしてお店の味ができているわけです。
材料は単純ですが、美味しいパンを作るためにはコツが必要です。
また家でパンを作る時に”膨らまないこと”が原因で失敗する人が多いようです。
要するに、イースト菌のお手伝いが足りていないのです。
それは、こねるのが足りていなかったり、生地を寝かせる時間やドライイーストの量など、様々な工程での配分を間違えるとパンの膨らむ度合いに影響を及ぼしているのです。
ところで、なぜパンは生地を捏ねて寝かしただけでふっくらとするのでしょうか?
パンが膨らむのは「イースト菌」の力!
先ほどご紹介した材料と作り方でなぜパンはふっくらするのでしょうか?
それは、「イースト菌」が主にパン生地を膨らませる役割を果たしているのです。
先ほどの材料にある“ドライイースト”が、イースト菌を足すのに欠かせないのです。
イースト菌は「酵母」の仲間で、発酵することでふっくらとしたパンが出来上がります。
イースト菌は、湿度や温度の条件が揃うと目を覚まし、働き始めます。
30度前後が活発に働くようなので、手の温度で捏ねることで丁度よいのかもしれません。
また、イースト菌は糖分が大好きで、砂糖を入れることで更に活発になります。
作り方の中に”寝かせる”工程がありますが、これも大きなポイントです。
1時間程パン生地を寝かせることで、イースト菌が糖をエサにして炭酸ガスとアルコホルを発生させ、ふっくら感と風味を作り出しています。
これをアルコホル発酵と言います。
生地は”寝かせる”と言いながら、実はイースト菌は寝かせた分せっせと働いているのです。
30度前後の温度を保ちながら寝かせれば寝かせる程活発になります。
膨らませるだけなら、実はイースト菌(酵母)を使わずに、炭酸水素ナトリウム(重曹)を使う方法もありますが、イースト菌には風味を作り出す役割もある為欠かせないのです。
また、パン作りで使われる小麦粉の多くは、強力粉です。
それは通常の小麦粉よりも「グルテン」が多く含まれているからです。
水と強力粉を混ぜ、こねればこねる程、粘着の強い生地が出来上がります。
この粘り気がグルテンです。
強力粉に水を加えた時に生成されるのです。
グルテンはタンパク質の一種で、
先ほどのイースト菌によって生成された炭酸ガスやアルコホルを逃さない為に、生地に膜を張って膨張する役目を果たします。
グルテンが無いと、いくらイースト菌がアルコホル発酵をしても生成されたガスが逃げてしまい、ふっくらとしたパンができません。
グルテンによってパンの食感を変えるのです。
パン屋さんのパンが美味しいのは、パンの性質やコツを知り尽くしたプロが作るからなのでしょう。
因みに出来上がったパンは、0度前後が腐りやすいので、日持ちさせたい場合は冷凍することがおススメです。
そんなお話をしていると、なんだかおいしいパンが食べたくなってきました。笑