日本酒をつくる微生物

食べ物にまつわる微生物

清酒=日本酒?

前回、麹のお話をしましたが、日本の大人が嗜む“日本酒”にも麹が関わってきます。
その中でも清酒というのは、こだわりの強いブランドが多くみられます。

そもそも「日本酒」と「清酒」は細かな違いがあるのをご存知でしょうか。

日本酒というのは、米・麹・水を主原料とするものですが
その中でも、

「ろ過」する工程があること
アルコール度数が22度未満

のものを、「清酒」といいます。

要するに、濁りのない澄んだ日本酒のことです。

どのようにして作られているのでしょう。

清酒(日本酒)ができるまで

先ほどもお伝えした通り清酒は、
米・米麹・水
を主原料として作られます。

磨いたお米(精米)を水洗いし(洗米)、蒸します(蒸米)。

ここで「麹菌」の登場です。

麹室で、麹菌をふりかけて繁殖させます。

すると、麹菌の働きによって「麹」が出来上がります。

麹は、お米のデンプンをブドウ糖に変える役割があります。

また、日本酒としての甘みやうま味を引き出します。

このブドウ糖を作ることは日本酒において大切な工程です。

次に登場するのが「酵母」です。

酵母は、先ほど作られたブドウ糖をアルコールに変える大事な役割を担っています。

ブドウ糖がアルコール発酵することでお酒が作られるのです。

またこの工程は、日本酒の香り付けにも影響しています。

この酵母が増殖したものが「酒母」となります。

そして、酒母に麹・蒸米・水を加えて、「もろみ」を作り出します。

お酒を作り出す為には酒母は欠かせません。

その為に3週間程じっくりと発酵させる工程を経てお酒が作られるのです。

ここで加えられる水にはそれぞれこだわった水が使用されます。

酒母がアルコール発酵した後は、もろみを絞り、数日間放置して「ろ過」させます。

ろ過することによって、澄んだ清酒ができるのです。

そして、殺菌するため、また酵母によって発酵が進まないように、60度以上の熱処理(火入れ)をします。

火入れをしないと、「火落菌」と呼ばれる乳酸菌の一種が酸化を早め、せっかくの風味を台無しにされてしまうからです。

火落菌以外にも酵素系などの微生物も含まれているので、貯蔵する前にすぐに行います。

ここではまだアルコール度数が高い為、水割りをして目的の度数へと変化させて出来上がりです。

因みに「にごり酒」も清酒と同じようにもろみをこす工程がありますが、清酒よりも目の粗い酒袋を使って絞るので、にごりがでるのです。

また、「どぶろく」というのは、もろみのろ過の工程がないものを言います。

「清酒」は、微生物に清められて出来るお酒なのです。

名酒は良質な「水」に含まれる微生物のおかげ!

清酒も様々なブランドがあるわけですが、
どこで違いを生んでいるのかというと、主に「水(醸造水)」です。

加える水によって日本酒としての味や風味に変化を与えます。

様々なブランドの名酒が生まれるのは「水」に違いがあるからなのです。

具体的に言うと、水の中に清酒の味に関わる微生物がいるのです。

それが「硝酸還元菌」です。

酵母がアルコール発酵する際、「硝酸還元菌」という細菌が増殖します。
硝酸還元菌は、水の中に含まれた硝酸塩を亜硝酸に還元する役割があります。

亜硝酸は有害な微生物を死滅させる殺菌作用があるので、良質な日本酒を作るために硝酸還元菌が多く含まれる水が良いとされています。

それだけでなく、硝酸還元菌は自然と乳酸菌を増やす力があり、その乳酸菌が日本酒のコクを引き出します。
硝酸還元菌と同様に殺菌作用もあります。

それから、水に含まれるマグネシウムなどのミネラルは、発酵を進める上で必要な栄養源になります。

名水があるところには名酒も生まれるワケですね!

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