細菌は世代交代が早い!?
我々人間は、祖父母・両親・子供・孫・ひ孫…と、自分の一生のうちに数回世代交代を見届けることができますが、
細菌の場合、1日生きているだけで、約72世代の家族を見ることができます。
細菌は、細胞を分裂させて家族を作っていきます。
分裂して2個になると、1世代になります。
すごいのは、この分裂して終わるまでの時間です。
菌の種類にもよりますが、乳酸菌と大腸菌は、条件下で約20分ほどすれば1回の分裂が完了します。
ということは、1日で72回も分裂しているということになります。
これはあくまでも回数でありますから、1日で2の72乗もの菌が増殖されているのです。
ざっと22桁はいく答えです。
食中毒の原因である菌黄色ブドウ球菌は繁殖しやすい35度の環境にあると、20分で2倍に増えてしまうのです。
因みに大腸菌の場合、分裂する際に栄養分を沢山使ってしまったり、体に備わっているバリア機能が守ってくれている為、ほとんどは体内での繁殖までには至りません。
今や当たり前「抗菌グッズ」
お店に行くと、「抗菌」という一言が記載されている商品を目にすることが多くなったように感じます。
まな板、冷蔵庫、トイレの便座、子供達が遊ぶおもちゃまで幅広く登場していますよね。
実際のところ、効果はあるのでしょうか?
抗菌グッズとは、ほとんどはカテキンなどの抗菌剤や菌が嫌いな銅や銀、チタンなどの金属の性質を使用することで細菌の繁殖を抑えています。
繁殖を抑えることで、臭い予防にもつながります。
抗菌加工製品は試験に合格したものには認証マークが付けられます。
マークは沢山の種類がありありますが、どのような効果があるのかによって異なります。
大きく分けて「SEKマーク」と「SIAAマーク」に分かれます。
・SEKマーク
これは繊維製品につけられるマークで、「清潔・衛星・快適」の頭文字をとっています。
衣類品や靴下、毎日使うタオルやカーテンなどに用いられます。
防菌の他にも、光媒体を利用する「光触媒抗菌加工」や通常の防菌よりも強力に細菌を抑制する「制菌加工」、一部の汚れや臭いを抑制する「消臭加工」や「防汚加工」のマークもあります。
・SIAAマーク
繊維製品以外のものにつけられるマークです。
トイレ設備やキッチン用品、バス用品や建築材料にも使用されます。
基準としては、抗菌加工がされていないものと比較して結果が見られた時に与えられるマークです。
「抗菌加工」以外には、カビを抑制する「防カビ加工」、ウィルスを抑制する「抗ウィルス加工」、抗菌・防カビどちらも兼ね備えた「抗菌防カビ」のマークがあります。
現在では電車のつり革や手すりなどの多くの人が触れる抗菌加工品が出てきていますが
だからといって安心してはいけません。
ちょっとでも汚れがあると抗菌の効き目がなくなってしまいます。
「抗菌」とは、清潔にしてなければ結局意味がないのと同じなのです。
菌は防御力を身につけるのが早い!?
「抗菌」という言葉は、「殺菌」や「除菌」などの言葉と違って、「細菌が減る」のではなく、あくまでも「細菌の繁殖を抑えること」になります。
しかしながら、大腸菌を減らすことができた優れた物もあれば、数カ月で効果が切れてしまう物もあるようです。
また、最も恐れられているのが、「耐性菌」の問題です。
私達が私達の技術によって菌に立ち向かうたびに、菌も学習してパワーアップしてしまうのです。
菌たちも日々成長し、時代に合わせて進化し続けています。
ましてや世代交代の早い細菌たちの方が人間の進化よりも早いのです。
そして私たちは細菌と共に生活している為、細菌から逃れることはできません。
体に住み着いている菌とうまく付き合っているのであれば、「抗菌」という言葉に敏感になる必要はないかもしれません。
うまく共存する為にも、体も常に清潔にしておくことが大事なのです。