抗生物質とカビの関係
大きなケガや、ウィルスにかかったとき、抗生物質を飲んだ経験ありませんか?
内服薬の抗生物質は市販では買うことができず、お医者さんの診察を通してもらうことができる、特別なお薬なのは知っていますが、
一体どこから発見されたかご存知でしょうか?
それは、、、土の中です!
詳しく言うと、真菌(カビ)をはじめとする細菌から作られていたのです!
世界で初めて作られた抗生物質「ペニシリン」は、偶然の発見となりました。
とあるドラマでペニシリンというワードが一時有名になりましたよね。
スコットランドの細菌学者が、実験で使い終わったブドウ球菌を蓋の無いシャーレで放置していたところ、外から来たカビが付着していました。
その中をよく観察すると、なんとカビの周りだけブドウ球菌が死んでいたのです!
カビがどこから来たのか突き止めると、それは土の中に潜む微生物だったそうです。
偶然の発見とはいえ、人の敵になるようなカビがブドウ球菌をやっつけるなんて誰も考えなかったことでしょう。
「ペニシリン」という言葉の由来は、カビがペニシリウム属であったことから名付けました。
抗生物質は様々な種類がある!
ペニシリンが見つかってからは、土の中の真菌を研究し、様々な抗生物質を生み出していきました。
その頃、多くの人々が悩まされていた結核の治療薬や、抗がん剤も土の中に潜むカビから発見されました。
因みに、日本の土からは沢山の治療薬が発見されたようで、結核の治療薬では「カナマイシン」、抗がん剤は「マイトマイシン」、「ジョサマイシン」が発見されています。
これでめでたしめでたし、、、となりたいところですが、細菌もやられっぱなしではなかったようです。
黄色ブドウ球菌の逆襲
細菌は、「耐性」といって攻撃に耐える力をもっているのです!
それは遺伝子にすでに組み込まれているのだとか。
そして、ペニシリンでは効かなくなってしまった黄色ブドウ球菌が登場します。
しかし、そのことを予測していたかのように、次に「メチシリン」という抗生物質が登場しました。
メチシリンは、ペニシリンに少し手を加えた応急処置的な抗生物質でした。
案の定メチシリンでは効かなくなった黄色ブドウ球菌が現れます。
更にパワーアップしてしまったばかりに、感染してしまうと治療の難易度が高くなってしまったのです。
次に登場したのが「バンコマイシン」。唯一長く重宝された抗生物質だったようです。
結果的にはまた耐性を持たれてしまったようですが、、、。
カビから作り出す技術は同じ人間として驚きですが、何度やられても追いついてくるどころか強くなって高確率で戻ってくる細菌には勝てないのかもしれません。
ですが、それは人が確実に細菌を死滅させていない証拠でもあります。
抗生物質を間違った使用法で扱うことで、残った菌が強くなり再度繁殖しているからです。
抗生物質の正しい扱い方を知ることこそ、細菌に打ち勝つ最善の方法なのかもしれません。
人間が病気に強くなる度に、病気の威力も強くなります。
新しい新薬を開発する研究者は常に”今”と戦っているのです。
抗生物質が市販されていない理由
抗生物質はなぜ市販されないのでしょうか。
答えは簡単です。乱用防止です。
抗生物質にも種類があり、それぞれ病気に合わせて服用することが必要となる為、専門の知識が必要とされます。
全ての病気が抗生物質を必要とするワケではないのです。
また、服用しすぎると「耐性菌」により、抗生物質が効かなくなる恐れがあります。
「耐性菌」を生み出してしまわない為に、お医者さんに決められた通り、用法容量を守って服用することが大切なのです!